Jap も愛情表現

【第7作(70分)】


この自主映画は、年の差のある男女の友情を描いたものでした。男性のお父さんはアメリカ人(黒人)で、お母さんが日本人でした。セリフに「子どものころ、日本にいれば『アメリカ人』といじめられ、アメリカに行けば『日本人』といじめられた」というのがありました。


ふと、わたしの頭をよぎったのが Jap という言葉です。わたしは中学校で「Jap は日本人と日系人に対する差別用語だ」と教わりました。第二次世界大戦中、アメリカで日本人と日系人を Jap と呼ぶ差別があったからだと聞きました。


けれど、そのような考えは少なくとも、(わたしの住んでいた)ニュージーランドには「ない」と思います。英語では「発音が楽だから」という理由で、名詞や名前が短縮されます(人名の短縮については「ニックネーム」をご覧ください)。


「野菜」vegitable → veggie

「リハビリ」rehabilitation → rehab

「スコットランド人」Scottish → Scot

「オーストラリア人」Australian → Aussie

「恋人・夫婦間で、特に男性から女性に対しての呼びかけ」Baby → Babe


ところで、わたしは彼と暮らしている間、次のように呼びかけられていました。


"Hey, Bub!" 【一番多い】

Babeをさらに短くして、Bubと呼ぶのは、NZやオーストラリア英語のようです。


"Good morning, Darling."【次に多い】

わたしは彼から "Honey" と呼ばれたことがありません。記憶の限り "Honey"と口にするのは女性だけです。恋人や夫、息子や娘に対して、そう呼びかけていました。


"What'cha doing, Sexy?"【たまに】

わたしは、典型的な昭和の小学生の体型です(ワカメちゃん)。だから、こう呼びかけられると感動しきりでした。


"Are you ready, Jap?"【まれに】

このように呼ばれて、嫌に感じたことはありません。むしろわたしが日本人である(自分の人種と違う)ことを誇りに思ってくれているように感じました。


英語において、名詞や名前の初め1~2音節だけを残すのは、短縮方法のひとつに過ぎません。戦後70年以上経った今、「Jap は親しみを表す場合もある」と理解することは大事だと思います。それが和解ではないでしょうか。



映像翻訳者 mizuki

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