チョピンとベートーベン
わたしの祖父が「チョピン」と呼んでいた音楽家は、Chopin です。名前の起源はフランスで、綴りと発音をそのまま輸入して、英語でも Chopin「ショパン」となっています。けれど、本来の英語読みなら「チョピン」ですよね。おじいちゃんは間違っていなかった!
Beethoven「ベートーベン」という名前は、起源がオランダで、ドイツに入ってきました。本来、英語の "th" は、舌を上下の歯で挟みますが、オランダ語やドイツ語を真似て "t" の発音になっています。日本語(カタカナ)にするなら、どちらも同じです。
英語に輸入された語の発音は、英語らしくないものと英語に似たものがあります。なぜでしょうか。
実は、言語にも「血統」があるのです。
Indo-European Languages(インド・ヨーロッパ語族)は、インド・ヨーロッパ地域とヨーロッパ入植地で話される言語を「ひとつの巨大家族」とみなすものです。人類が移動し、生活してきた中で、言語が枝分かれしていったと考えられています。
「血統」によって特徴があります。例えば
・語順が同じである。
・名詞に単数、複数がある。
・名詞に性別がある。
・時制の種類(現在、過去、未来、完了など)が同じである。
・動詞の活用が似ている。
・語彙が似ている。
・接頭語と接尾語が共通している。
・発音や綴りが似ている。
これは約10グループに分かれます。そのうち、Italic(イタリック語派)とGermanic(ゲルマン語派)の2つを見てみましょう。
1. Italic(イタリック語派)
French(フランス語)、Italian(イタリア語)、Portuguese(ポルトガル語)、Spanish(スペイン語)などです。
母親は、ローマ帝国で使われていた Latin(ラテン語)です。
2. Germanic(ゲルマン語派)
North(北)とWest(西)に分かれます。
North Germanic は、Danish(デンマーク語)、Icelandic(アイスランド語)、Norwegian(ノルウェー語)、Swedish(スウェーデン語)などです。
West Germanic は、English(英語)、Dutch(オランダ語)、German(ドイツ語)などです。
母親は、スカンジナビア南部とドイツ北部にいたゲルマン人の Germanic(ゲルマン語)です。
そして、Latin(ラテン語)とGermanic(ゲルマン語)の母親は同じです。
英語の視点から見ると
・オランダ語、ドイツ語などは「近くに住む姉妹」
・デンマーク語、アイスランド語、ノルウェー語、スウェーデン語などは「離れて暮らす姉妹」
・フランス語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語などは「いとこ」
となります。言語の家族も、血は争えないんですね。
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