Strong or Weak
日ごろ、みなさんは為替レートの影響を受けてらっしゃいますか?
わたしが為替レートに翻弄されていたのは、ニュージーランドに初めて飛んでから10年ちょっとの間でした。
現地で生活していた2年間も NZD / JPY のレートはかなり変動しましたし、帰国後約8年間、両国を往復していた間にはレートが大きく変わりました。
その後、特に気にすることなく過ごしていましたが、2022年夏の終わり、わたしもさすがに、USD / JPY のレートが大きく変わっていることに気づきました! 何十年ぶりかの「円安」になったとのこと。1年半ほどたった今も、円安が続いています。
わたしは中学生のころから、「円高・円安」という日本語に納得がいきません。公表為替相場の「円の数値が下がる(低くなる)と円高(価値が上がる)で、数値が上がる(高くなる)と円安(価値が下がる)」というのが矛盾に思えて仕方ありません。
なぜ、円の数値が下がる(低くなる)と円が高い(価値が上がる)?
なぜ、円の数値が上がる(高くなる)と円が安い(価値が下がる)?
だから今でも、経済の日本語ニュースを理解することができません。
一方、NZD/JPY に振り回されていた10年ちょっとの間、耳や目に入ってくる英語のニュースにはまったく矛盾を感じませんでした。
英語では「通貨や経済の強い・弱い」の概念をもとに、「数値が高い・低い」「数値や価値が上がる・下がる」と表現するからです。
いくつか書き出してみます。
"The NZ Dollar has dropped to its lowest value againt its US equivalent since March 2020."
「NZドルが米ドルに対して、2020年3月以来、最低値にまで落ちた」
→現在「NZドルは弱い」ことが伝わってきます。
"It will likely to impact their lives because a weak Kiwi Dollar means importing is more expensive."
→ 「NZドルが弱くなったのだから、輸入(海外からの買い物)にはお金がかかる」のは当然理解できます。
Ports of Auckland, our trade link to the world is vulnerable to market volatility.
「世界との貿易の窓口であるポート・オブ・オークランドは、市場の価格変動に対して脆弱になっている」
→ Ports of Auckland Limited は、NZ最大の都市オークランドの港を運営する会社で、NZ貿易の象徴です。
→「NZ経済が弱くなっている」ことがわかります。
Six months ago, the NZ Dollar was at 68.9 US Cents and now it's at 56.6 US Cents, a fall of 18 %.
「6ケ月前には、1NZドル=68.9 US セントだったが、今は56.6 US セントとなり、18%も価値が下がった」
→「NZドルの数字が下がり、価値が下がった」ので、矛盾がありません!
(※See below)
Our dollar is suffering because the US Dollar is being pumped up by the US Federal Reserve which is lifting interest rate ...
「米FRBは利上げを続け、米ドルは強くなる一方なので、NZドルは苦しい状況に陥っている」
→「経済・通貨が強くなっている国(アメリカ)」と「経済・通貨が弱くなっている国(NZ)」の対比です。
このニュースでは、weak (NZの経済・通貨が弱い) に関連して、vulnerable という形容詞や suffering という動詞が、NZの経済に対して用いられています。
また、strong (アメリカの経済・通貨が強い)に関連して、being pumped up という表現が、米ドルに対して用いられています。
ね? 経済の知識がなくても、英語ならわかりやすい!
ではなぜ、日本語「円高・円安」という表現に矛盾を感じるのでしょうか。
ニュージーランドでは、「自国通貨(1NZドル)」に対して為替レートが挙がります。
日本では、「自国通貨(1円)」に対してでなく、「外国通貨(たとえば、1米ドル)」に対して為替レートが公表されます。為替レートの公表スタイルが「逆・反対」なのです。だからわたしは、「円高・円安」という日本語に矛盾を感じるのだと思います(※ My answer)。
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